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ギター イマージュ

「ギターソロ セレクションフロム イマージュ&イマージュ2」という曲集があります。

掲載されている各曲について、個人的な感想を書いてみたいと思います。楽譜の購入(もう中古しか出回ってないですが)を考えられている方や、曲に取り組まれている方の参考になれば幸いです。

「イマージュ」より

エトピリカ/葉加瀬太郎

テレビ番組『情熱大陸』のエンディングテーマ(最近見ていないので今も使われているのかは不明です。)
きちんと弾ければ、かなり良い雰囲気になると思います。

音数は最低限になっており、音取り自体はそんなに難しくないと思います(タブ譜もついていますしね)。ただ、リズムをキープしようとおもうと弾きにくいところが多々あります。特に、終わりで32分音符が入る小節の次の小節にすぐに入るのは至難の業です。

運指については、楽譜に書かれているものにこだわらず、自分が弾きやすいものに置き換えてもよいと思います。

運指を検討する例として、Bの最初の小節の最後の32分音符は、21という運指ですが、1で押さえるファ#の音は最低でも5弦までのセーハにしておく必要があると思います。セーハしておけば、次の小節では人差し指の根本を指板から持ち上げればすぐに入れます。

もし、セーハせずに普通に1弦だけを押さえた場合、または、小節頭から3弦までのセーハとした場合だと、次の小節に素早く入るのは困難です。

そして、次の小節の1弦は解放の指示ですが、これは2弦の5フレットで取る方法も考えられます。その場合、Bm7のコードの間は5弦までのセーハを保ちます。この方法が、私が試した中では一番レガートに弾けると思いました。

こんな感じで、演奏がスムーズに流れにくい場所の運指を一つ一つ検討する必要があると思います。

なんとなくの雰囲気を楽しむだけであれば、そこまで難しくないと思いますが、しっかり取り組む場合にはそれなりの労力を覚悟する必要がある編曲だと思います。

パリは燃えているか/加古隆

原曲のような重厚感を出すのは難しいと思いますが、特徴的なアルペジオや、和音の移り変わりを楽しむことができます。

この曲集の中では比較的無理なく弾ける編曲だと思います。

書かれている通りの運指で素直に練習していけば、完成に近づいていくのではないでしょうか。

放課後の音楽室/ゴンチチ

基本的には弾きやすい編曲なのですが、5弦3フレットのドを押さえながら1弦7フレットのシを押さえるところでストレッチが求められるのと、後奏で出てくるオクターブハーモニクスが難所です。レのハーモニクスは22フレット相当部分がハーモニクスポイントですがフレット棒はないので、事前に場所をよく確認しておくとよいでしょう。

ストレッチ部分ですが、曲の説明の文章だと6弦8フレットで押さえると書かれていますが、タブ譜だと5弦3フレットです。6弦8フレットでいく場合は、5フレットを4弦までセーハして6弦は4の指で押さえることになるかと思います。これはこれで、6弦8フレットを4の指で押さえながら3の指で1弦7フレットを押さえるというストレッチが必要なので、あまりメリットのある運指ではないように思います。

ニュー・シネマ・パラダイス/A&E.モリコーネ

原曲を忠実に再現したという感じで、左手の押さえにそんなに無理はありませんが、常にポジションチェンジしていくのと、カンパネラ奏法(アルペジオで、フレットを押さえた低音側の弦の方が、開放の高音側の弦よりも高い音になる弾き方)が多用されているのとで、押さえ間違いや弾き間違いが起きやすいのが難しい点です。

Aの10小節目(2ページ目の4小節目)でTAB譜のベースが5弦になっていますが、正しくは五線譜の通り4弦だと思われます。

愛を奏でて/E.モリコーネ

映画『戦場のピアニスト』のテーマ曲。ドロップDチューニング。
Aからは弾きやすいと思います。イントロは臨時記号が多く、合ってるのか合ってないのか分からなくなります。もとがピアノで、高速なアルペジオを即興的に弾く部分なので、ギターで弾くにはかなり無理があります。私はそこまで弾き込めてないので編曲のポテンシャルが分からないのですが、しっかりしたテンポで弾けたらどの程度原曲のような雰囲気がでるのでしょうか。

難易度が極端には上がらないように音がかなり省略されているので、慣れてきたら音数を増やしていっても面白いかもしれません。

黄昏のワルツ/加古隆

NHK『人間ドキュメント』のテーマ曲。ドロップDチューニング。
無理なく弾ける編曲で、原曲の雰囲気もよい具合に再現されていると思います。

風笛/大島ミチル

NHK朝の連続テレビ小説『あすか』のテーマ曲。
簡単そうに見えて、ポジション移動やハイポジションのセーハが出てくるので意外と難しいです。とはいえ、じっくり練習すれば、そんなに弾くのに無理のある場所はないように思います。
最後のハーモニクスはどこを弾けばよいのか疑問に思うところですが、タブ譜で指示されているフレットを左手で押さえてオクターブハーモニクスにすればよいのでしょう(楽譜に書かれた音の1オクターブ上の音が鳴ります)。

BEFORE LONG/坂本龍一

サティ―の『グノシェンヌ第1番』のような雰囲気が味わえる曲です(だと個人的には思っています)。
ドロップDチューニング。概ね簡単に弾けるのですが、1ページ目の2段目、3段目がやたらと弾きにくいです。2段目2小節目(Bの最初の小節)ですが、ベースのC#の音は次の段の冒頭のように6弦の11フレットで取るのも手だと思います。2拍目のベースも4弦7フレットではなく5弦の12フレットで取れば、左手のストレッチが避けられます。9フレットの部分セーハですが、意外とフルでセーハしてしまった方が楽な場合もあるので、「必要のある弦だけ押さえよう」と考えずに、押さえる弦の数を柔軟に調節するとよいと思います。

「イマージュ2」より

青の地平/加古隆

NHK『ドキュメントにっぽん』テーマ曲。全体的に弾きやすいと思います。ベースが裏拍で入るところのリズムが取りにくいところがあるかもしれません。スラーがたくさん出てくるので、そこをいかに安定して弾けるかが勝負でしょう。2小節目最後の1弦ファ#は1の指の根本で押さえておくと、次の小節ベースのシの音が押さえやすいです(ゆったりとしたテンポで弾く分には関係ありませんが、指定の四分音符=90にもなると、こうしないと間に合わないと思います)。3拍目の2弦のレを押さえた2の指を次の小節まで離さず残しておくのも有効だと思います。

風の国/チチ松村

こちらは特にテーマ曲としては使われていないようです。ゴンチチさんのアルバム『gontiti best』に収録されています。
原曲では伴奏がずっと同じパターンで入るのですが、こちらの編曲では途中はアルペジオに変更されています。また、ソロの部分(アドリブっぽいところ)は再現されていないので、原曲のアレンジが好きで仕方がないという方には物足りないかもしれません。
キーが変更されていますが、2フレットにカポをつければアルバム通りです。

シンドラーのリスト/J.ウィリアムズ

映画『シンドラーのリスト』テーマ曲。無理のない編曲だと思いますが、当たり前のように1弦の15フレットが出てきます。こういうところから、この曲集は弾きやすい編曲になっているとはいえ、中級者以上が対象となっているように感じます。

江部賢一編の『シンドラーのリスト』はYouTubeでも演奏動画をたくさん見つけることができ、多くの人に親しまれているようなのですが、残念ながら現在は楽譜が入手困難となっています。

今紹介している「ギターソロ セレクションフロム イマージュ&イマージュ2」(2001年出版)以外では、2001年出版の「こころやすらぐソロ・ギター~リラクゼーション・ミュージック~vol.2」、2007年出版の「こころやすらぐ ソロ・ギター ~リラクゼーション・ミュージック~」にも収録されていたようなのですが、絶版です。現在同じタイトルで流通している曲集はもっと後に出版されたもので、『シンドラーのリスト』は収録されていません。

Letters/Arico

ドラマ『翼をください』愛のテーマ。
誤植らしきものがいくつかあります。
・Cの3小節目:五線譜の3拍目ベースはファ#ではないか?(タブ譜だとそうなっている)
・Dの5小節目:TAB譜1拍目は5弦3フレットでしょう
ピアノの演奏を聴きなれていると、伴奏のアルペジオの音形が再現しきれないのが残念なところ。ギターの音域が限られているため、仕方ないのですけれどね。

トゥー・ラブ・ユー・モア/D.フォスター&J.マイルス

ドラマ『恋人よ』テーマ曲。
そんなに無理はないのですが、ポピュラー特有のお洒落なコードはクラシックギターのオリジナル曲では出てこないので、左手の押さえ方に戸惑うところがありました。比較的早い段階でインテンポで弾けそうな曲ではありますが、それによって左手に負荷がかかることもあるのではないかと感じました。なれない押さえが出てくる場合、そこが手に馴染むまではテンポを上げないことも、手を守るために必要だと思います(普段からポピュラーのコードを押さえなれている方には全く問題にならないかもしれませんが)。

難易度と弾いた満足感のバランスが取れた編曲だと思います。

祈りのシチリアーノ/丸山和範

ハイポジションのストレッチはけっこう左手に負担がかかります。概ね弾きやすいのですが、Eのあたりで急なポジションチェンジやハイポジションがあるので、全体としてはまあまあ難しくなっていると思います。

曲の雰囲気はよく再現されているのではないでしょうか。

サイダーハウス・ルール~メイン・テーマ/R.ポートマン

映画『サイダーハウス・ルール』のテーマ曲。

素朴で温かみが感じられる編曲です。解説にもメロディーを浮き立たせて弾くように書かれていますが、メロディーが内声(最高音ではなく、アルペジオの中間くらいの高さ)になるところが多いので、よほど音量バランスを気を付けないと、どこがメロディーなのか聞いていて分からない演奏になってしまうでしょう。

ローポジション中心で、この曲集の中ではかなり弾きやすいです。大きな変化がなくメロディーが繰り返されるので、もう少し味付けが欲しい感じはしないでもないです。

まとめ

曲集全体を通した所感です。

左手について、極端な拡張があるわけではないものの、手が小さかったり、あまり柔らかくない方にとっては割と負荷の大きい部分が出てくると思います。私も、記事を書くために一通り音を出してみたのですが、無理にテンポを上げると左手を痛めそうだなという感覚がありました。

音の数は最小限(場合によっては物足りないくらい)に抑えられており、難易度は比較的低く抑えられていると思いますが、フレーズのつなぎ目などディティールにこだわっていくと、運指を自分の弾きやすいものに変更したりといった、上級者的なことも要求されてくると思います。

個人的に弾いていて満足感が大きいと思うのは

・放課後の音楽室
・ニュー・シネマ・パラダイス
・風笛
・BEFORE LONG
・青の地平
・シンドラーのリスト

あたりです。

ところどころ五線譜とTABの整合が取れていない音があります(気が付いたものは上で書いています)。何か弾いていておかしいと思ったら、五線譜とTAB譜を見比べてみて音が一緒かどうか確かめたり、原曲を聞いて確認するなど、楽譜を妄信しないことも必要でしょう。

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