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タッチによる音色の違いについて

ギターの音色を変える要素

同音異弦

ギターの音色を変える要素はさまざまあります。まずは同音異弦。ギターでは弦が6本あるので、同じ高さの音でも、どの弦を弾くのか選ぶ余地があります。

 

例えば1弦の開放弦の音はミの音ですが、同じ高さの音は、2弦5フレット、3弦9フレットなども同じ高さの音が出ます。

 

そして、開放感があって屈託のない感じのする1弦の音に対して、2弦は艶やかな音、3弦は深みのある音が出ます(感じ方は私の主観です)。

 

この、弦の違いによる音の違いは、かなり分かりやすいです。

弾弦位置の違いと倍音

次に分かりやすいのが、弾弦位置の違いによる音色の違いです。同じ弦で同じ音を弾くときに、弦のどの部分を弾くかということです。

音は、人間が音色の違いを感じる際に、音の立ち上がりに発せられる音の影響が大きいと言われています(※)。

※すみません。書籍名を忘れたのですが、バイオリンの音を人に聞かせたとき、立ち上がりの部分をカットして途中から聞かせると、楽器の識別が困難になるというような実験が掲載された本を目にしたことがあります。

 

弦を弾く位置を変えると、この立ち上がりの音(アタック音)が明らかに変わります。ギターの箱側にある弦を支えている部分をブリッジと呼びますが、ブリッジのすぐ近くで弦を弾くとパーンというような、弾けるような音が鳴る一方で、弦長の半分ほどとなるサウンドホール付近で弦を弾くと、弦は柔らかく、そのような音は出なくなります。

 

このアタック音の違いが一点。もう一つ、アタック後の伸びる音(サスティン)についても変化が生じます。

楽器の音は音叉とは違い、基音の上に無限の倍音が重なった合成音となっています。この倍音の構成が、弾く位置によって変わります(ハーモニクスは、この無限に重なった倍音のうち一つを取り出す技術です)。

 

音は波です。波には波長があります。波長は、弦の長さの整数分の1の長さになるという特徴を持っています。波長は弦長以下になるのですが、波長を整数倍すると、必ず弦長になるということです。波長を1.7倍すると弦長になる、というような中途半端なことにはなりません。

これによって、弦長と波長が1対1となる基音(第1倍音)、1対2となる第2倍音・・・・というように、基音と倍音の波長が決まっていきます。

 

波と波の間は節と呼ばれる、振動しない点があります。

 

ハーモニクスを弾くときを思い出していただくと、右手で弾く位置によって、鳴りやすかったり鳴りにくかったりすると思います。これはなぜかというと、弾こうとしているハーモニクスの波長の節にあたる部分を弾くと、音が鳴りにくいのです。

これから作ろうとしている波形で、振動しないはずの部分を無理に振動させようとしてしまっているわけですから、当然ですよね。

 

同じことが、ハーモニクスではなく、普通に弾くときにも起こっています。つまり、無造作に選んだ右手の弾弦位置が、倍音の中のどれかの節と一致したとき、その倍音が鳴りにくくなります。

これによって、同じ基音の音でも、含まれる倍音が異なるという現象が起こるのです。

タッチの違いによる音色の違い

ここまで、弦の違いと弾弦位置の違いという、ギターの音色を変える2大要因を見てきました。このどちらとも異なる第3の要素が、タッチの違いです。

タッチを定義するのは難しいのですが、ここでは、「指が弦と触れる瞬間から、弦から離れるまでの間の、指の動かし方」とでもしておきましょうか。

ギターにおける、タッチの違いとは

まず1つは、爪と肉のバランスというのがあります。(主観ですが)よく言われているのは、弦に触れる瞬間は肉のみが当たるようにして、その後は爪と肉両方が弦を通過するようにするというものです。理由は、振動する弦に爪が当たると雑音が生じるため。

音の立ち上がりは音色に与える影響が大きいという話を最初にしましたが、弦に触れる瞬間の肉の量をどの程度にするのか。多くするか少なくするかで、音色の印象が大きく変わってくると思います。私の感覚では、肉の量を多くするほど音は角の取れた丸みのあるものとなります。逆に、肉を少なめにすると、明瞭で軽い感じの音になる気がしています。

 

次に、指が弦を通過するまでの間に、どれくらいの距離、あるいは面積が弦と接するかというのがあります。

指先だけが触れるようにすれば、弦が触れる量は少ないですし、指を寝かせてなでるように弦を通過させるなら、触れる量は多くなるでしょう。この違いも、音色に影響を与えると思います。

そして、弦を振動させる方向というのもあります。弦は、表面板に対して垂直方向の振動を与えるために、表面板に対して押し込むようにして弾くのが良いと聞いたことのある方も多いのではないでしょうか。ケースバイケースだと思うのですが、私の経験では、垂直方向の振動を与えると、太鼓で言うと大太鼓のような、楽器の奥から響いてくるような音が出るような気がします。セゴビアのタッチはそんな感じではないでしょうか。

アルアイレとアポヤンド

この、表面板に対して垂直方向の振動に関連して、アルアイレとアポヤンドについてお話したいと思います。アポヤンド奏法は、弦を弾いたあとに指が隣の弦に寄りかかるように弾く奏法です。よって、隣の弦の音を止めてはいけないアルペジオの最中などには使うことができません。逆に、隣の弦の音をミュート(消音)したいときには効果的です。

 

一方のアルアイレ奏法は、弾いたあとの指は他の弦に触れないように弾く奏法です。こちらはどんなシーンでも使える万能な弾き方と言えると思います。

アルアイレ奏法の音色をアポヤンド奏法に近づけたいというのは、私に限らず多くのギター奏者の望みだと思います。ですが、根本的に両者が異なるのが、指を振り抜く方向の制約です。アポヤンド奏法は、極論、ほとんど表面板に向かって垂直に指を振り抜くことも可能ですが、アルアイレではそれはまず無理です。

よって、垂直方向の振動を考えたとき、アルアイレ奏法がアポヤンド奏法に対して圧倒的に不利となるのは当然です。

弦を弾く行為は往復運動ではない

余談ですが、p(親)指については、往復運動ではなく回転運動だという認識を持っている方は多いと思います。ではi、m、a指についてはどうでしょう。

もし、弦を弾く行為が往復運動ならば、弦を弾いたあと、元の位置に戻る過程で指が弦にぶつかって音が鳴るのを妨げてしまいます。

弦を弾いた後の指は、「その弦に触れないように」戻らなければならないのです。こう考えると、i、m、a指についても、回転運動だと言えるかもしれません。

まとめ

ギターの音色を変える要素の一つとして、タッチの違いがあります。タッチの違いといっても、弦に触れる肉の量、弦が通過する面積、指を振り抜く方向と、とてもここで言いつくせないほどの要素があります。

今は、主にアルアイレ奏法における指の動きを研究しているので、何か気がついたことがあれば少しずつ記事にしていきたいと思います。

 

今回は導入編ということで、大まかに、ギターの音色の変化を生む要素についてお話してみました。

お読みいただきありがとうございました。

ご意見、ご感想、ご質問等あれば、なんなりとコメントしていただけると幸いです。

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