大学院電子オルガン定期演奏会に、来たる12月14日に参加させていただくことになりました(演奏会の詳細は本記事末尾)。
これを機に、電子オルガンという楽器について少し書いてみたいと思います。
授業で聞いた話や演奏者から直接聞いた話をもとにしていますが、間違えているところがあったら問い合わせフォームなどから教えていただけるとありがたいです。
電子オルガンとは
電子オルガンとエレクトーン
電子オルガンについて語れるほどの知識はないのですが、この楽器についてあまりご存知ない方も多いと思うのでご紹介させていただきます。
まず、ピアノといったら、どんな楽器かすぐに思い浮かぶと思います。
では、エレクトーンはどうでしょう。これもすぐに思い浮かぶのではないでしょうか。小学校のクラスに何人かはエレクトーンを習っている子がいたりしたものです。
エレクトーンは、電子オルガンの商品名です。ヤマハというメーカーから販売されている電子オルガンが、エレクトーンになります。
スマートフォンにも、アップルのiPhoneやソニーのXperiaなど色々な商品名があります。電子オルガンとエレクトーンはそのような関係です。
電子オルガンの弾き方
まずご理解いただきたいのは、電子オルガンから出てくる音は、ほとんどすべて、演奏者がその場で演奏しているものだということです。
打ち込みの音源を流しているわけではなく、迫力のある打楽器の音も、繊細な弦楽器の音も、輝かしい管楽器の音も、すべて演奏者がその場で弾いて出た音です。
あまりにも多彩な音色が同時に聞こえてくるので疑ってしまいますが、そうなのです。
(ポップスの曲などで使われる一定のビートのようなものは、予め用意されている音を流す場合もあります)
電子オルガンの鍵盤
電子オルガンは鍵盤楽器、ピアノとかなり似た見た目をしています。
しかし、ピアノのように鍵盤をたたいて(たたくと言うと語弊がある可能性がありますが、今は細かいことは置いておきます)弾くのではなく、鍵盤ハーモニカや足踏みオルガンのように、鍵盤を押せば音が出ます。
電子オルガンの音量
音量のコントロールは2つの手段によって行われます。
1つは右足の部分にあるフットペダルエクスプレッションペダル。これを押し込む量によって音量が変わります。
もう1つは鍵盤を押し込むことです。これにより、特定の音だけをクレッシェンドすることが可能になっています。
ちなみに、現在の電子オルガンは鍵盤を左右に動かすことでビブラートをかける機能もついているらしいです。行くところまで行ってる感じがしますよね。
電子オルガンの左足
電子オルガン奏者は、左足を使って足鍵盤を弾きます。同じように足で鍵盤を弾く楽器をご存知でしょうか。
それはパイプオルガンです。大きな音楽ホールやチャペルなどに設置されている、銀色の長いパイプがたくさんついた鍵盤楽器です。
あれも足鍵盤がついています。
しかし、パイプオルガンの場合は両足で足鍵盤を弾くのに対して、電子オルガン奏者の右足はフットペダルエクスプレッションペダルの操作に使われるので、左足だけで足鍵盤を弾くことになります。
こちらの動画、先月の洗足学園学園祭での演奏です(スマホ撮影のため音が悪くてすみません)。
23:01くらいから、チャイコフスキー作曲、交響曲第5番ホ短調作品64より第2楽章の演奏です。
演奏者の背後から撮影した映像ですので、動画を見ていただくと足の動きがよく分かると思います。
なお、この曲は冒頭でご紹介した「大学院電子オルガン定期演奏会」でも演奏されますので、ぜひご来場いただいて生の迫力を体感していただければと思います。
電子オルガンの音色
電子オルガンは、色々な音色を出すことができます。もともと楽器に登録されている音だけでなく、自分で新たな音色を追加することもできるそうで、その音色の幅は無限大です。
パイプオルガンだと、ストップと呼ばれる棒がいくつも鍵盤の横あたりについていて、それを引き出したり戻したりすることで音色を調節します。
では、電子オルガン奏者はどうやって音色の切り替えをしているのでしょうか。
いくつか方法は用意されているのですが、先ほどのチャイコフスキーの演奏。一見切り替えているような様子はなかったのではないでしょうか。
実は右足が、音量の調節だけでなく音色の切り替えも行っています。
右足を縦に動かしたときは音量を調整していますが、横に動かしたときは音色の切り替えスイッチを押しているのです。
でも、「膨大な音色の中から次に使う音色を選ぶ」という時間のかかる作業を、演奏中に何度も行うのは困難ですし、音色の数だけスイッチがついているようにも見えないですよね。
電子オルガン奏者の方は事前に、
この部分では「上の鍵盤はこの楽器、下の鍵盤はこの楽器、足鍵盤はこの楽器を使おう」
という音色のセットを予めプログラミングしてデータとして作っておき、それを電子オルガンに読み込ませます(USBメモリーが使えるそうです)。
そこには、ある部分で使う音色のセットと、セットを使う順番が登録されています。
本番の演奏中は、右足でスイッチを押すことで、次の楽器のセットに音が切り替わります。
先ほどの動画で、右足を横にクイっと動かしているところが全て音色を切り替えているところだと思うのですが、26:10あたりなど、とんでもない頻度で切り替えています。
楽器の違いだけでなく、同じ楽器でもソロのときと全員の合奏のときでは別の音色が用意されています。1曲通して音色を設定するだけでも、想像すると本当に気が遠くなりますよね。
電子オルガン奏者の方は、曲を弾く練習以外にも事前に音色の組み合わせを考えるところに、かなりの時間を割く必要があるのです。
電子オルガンの演奏会
と、今まで説明したようなことを意識すると、電子オルガンがより、すごい楽器に見えてきたのではないでしょうか。
電子オルガンはピアノと違ってどこにでもあるような楽器ではありません。かといってギターのように持ち運びが簡単な楽器でもなく、演奏できる場所には制約があります(持ち運びできる分解式のものもありますが、それでも運搬は結構大変です→体験談)。
大学院電子オルガン定期演奏会の詳細
ということで、こちらの演奏会。
2019年12月14日(土) 15:00開演 14:30開場 洗足学園 シルバーマウンテン2F 入場無料
電子オルガンの魅力を存分に堪能できるラインナップとなっていますので、この記事を読んで電子オルガンに興味を持たれた方は、ぜひ足をお運びください。
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入場無料となっております。
私が髙橋和哉さんと演奏するニューシネマパラダイスメドレーは、ギターパートも含めて髙橋さんが編曲をしてくださいました。
これまでに何度か演奏の機会があり、今回が集大成となります(もちろん、機会があればまた演奏したいなと思っていますが)。
電子オルガンの独奏だけでなく、このような、他楽器とのアンサンブルも聞ける演奏会です(ギターの他に、声楽、フルートなどがあります)。
ご来場いただければ、きっとお楽しみいただけるのではないかと思います。
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修正履歴
2019/12/24 フットペダル→エクスプレッションペダルに修正
2022/7/10 いただいていたコメントを誤って削除してしまいました。申し訳ございません。
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