バロックリュートという楽器があります。これは通常は13コースの楽器です。
一方のルネサンスリュートは、通常8コースです。
これ、ルネサンスからバロックに時代が進んで、単に弦の数が増えただけではありません。はっきりいって、全く別の楽器と言ってよいほど音の感じが異なります。
バロックリュートはAm調に調弦されていて弦は多くとも転調は苦手、弾ける曲はかなり限られます。
しかし、その音域たるや、ギターよりもはるかに低い音まで出せますし、深い響きは他の楽器では味わえません。
一度、バロックリュートを弾いた直後にルネサンスリュートを弾いたことがあるのですが、音がずいぶんと軽く感じました。
ルネサンスリュートはポロンポロンという、乾いた感じの音がしますが、バロックリュートはしっとりとした、うまく例えられませんが、たとえば秋、前日に雨が降ったような山に入って、地面に敷き詰められた湿った葉っぱのような、そんな、少し暗くてしっとりとした感じ。私はそんな印象を持っています。
リュートを弾くといっても、ルネサンスとバロックは別ものと考えた方が良いと思います。あまり詳しくはありませんが、レパートリーは重ならないのではないでしょうか。
どちらかを選ばないといけないならば、自分の弾きたい曲が弾ける方を選択しなければなりません。
ただ、弦が多ければ多いほど人を選ぶようで、おそらく、バロックリュートの方が弾く人を選ぶようです。
右手の親指の守備範囲(担当するコース)がとても広くて、上からのぞきこんでも弦だらけでわけが分かりませんから、親指の位置を感覚でつかむことが要求されます。